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田染小崎と田染真中の境に屹立する岩山にあり、西を望む夕日岩屋、東を望む朝日岩屋について、令和6年2月21日に国の登録記念物(名勝地関係)の登録原簿に正式に記載されました。
豊後高田市の南西部、田染小崎と田染真中の境界にもなっている「間戸ン岩」の田染小崎側につくられた岩屋が「夕日岩屋」です。岩屋からは西側の視界がひらけており、夕日がよく見えることから、「夕日岩屋」と名付けられました。
夕日岩屋は、六郷満山寺院・喜久山(真木大堂)の末寺として、南北朝時代には古文書「六郷山本中末寺次第幷四至等注文案」に登場し、現在でも峯入りの際にも僧侶が岩屋を訪れます。江戸時代には、田染地区に設定された四国八十八箇所の写し霊場にもなり、中間の露頭にはコンピラの石祠がつくられました。
また、江戸時代には田染小崎から見上げる間戸ン岩の独特な形状について、十市石谷によって田染八景「間戸山月」が見いだされ、月と共に岩山を賞でる文化が江戸時代から育まれてきました。
現在では、重要文化的景観「田染荘小崎の農村景観」や世界農業遺産(GIAHS)における、国東半島の貴重な農村景観の観賞スポットとして広く知られており、田染荘を象徴するスポットとなっています。
田染小崎と田染真中の境界に屹立する間戸ン岩の中、夕日岩屋の真裏の田染真中側につくられた岩屋が「朝日岩屋」です。岩屋からは東側の視界がひらけており、朝日が見えることから、「朝日岩屋」と名付けられました。
朝日岩屋も、夕日岩屋と同じく喜久山の末寺として、南北朝時代には古文書に登場し、峯入りや巡礼のルートとなっています。
江戸時代の村絵図には、間戸村の岩山の形状が詳細に描かれ、朝日岩屋も岩屋の記号により示されるなど、古くからランドマークとして機能していました。
朝日岩屋には、間戸村の田染石を使って石造覆屋が設けられており、現在も平安仏が大切に祀られているなど、地域の信仰を知る上で稀有な場所となっています。
平成16年の文化財保護法改正で新設された制度の1つで、主に評価が定まっていない記念物について、広く保存及び活用のための措置を講じるため、国及び地方自治体の指定を受けていない記念物を、文化財登録原簿に登録するものです。
中でも、名勝地に関連するものを一般に登録名勝と呼びます。自然的な名勝地については、広く知られたもので再現することが容易でないものが登録されます。
豊後高田市では、平成29~30年度に田染地区の名勝地について、その特定をする調査を実施し、調査報告書を作成しました。
報告書は、市役所高田庁舎1階の市政情報コーナーや、市立図書館などでご覧いただけるほか、田染荘スペシャルサイト<外部リンク>でPDFを公開しています。
豊後高田市教育委員会では、名勝地「夕日岩屋」「朝日岩屋」の意見具申にあたって、当該地区の風致景観についてまとめた調査報告書を作成しました。
現在、報告書を刊行する予定はありませんので、以下のリンクよりダウンロードしてご参照ください。
「夕日岩屋・朝日岩屋 名勝調査報告書」(PDF) [PDFファイル/14.57MB]
夕日岩屋・朝日岩屋の風景は、田染真中にあった渡邊酒造場(現:蔵人)によって「窓の月」という日本酒となっていました。
夕日岩屋・朝日岩屋の風景と月を賞でる文化を未来につたえる日本酒として、「田染の夕 窓の月」と名前もリニューアルして今年の春に復刻いたしました。
勿論、田染地区のお米とお水を使って醸造しています。パッケージにも夕日岩屋・朝日岩屋の景色を元にデザインがなされています。
(市内では、銘酒処田染荘<外部リンク>や豊後高田市観光まちづくり株式会社などで販売されております。美味しいお酒に仕上がっておりますので、是非お買い求めください。)
夕日岩屋・朝日岩屋の登録で、豊後高田市の国指定名勝・国登録記念物(名勝地関係)は合計6件となりました。以下に各指定・登録に関する記事のリンクを掲載しましたので、記事を読みながら豊後高田市の美しい風景巡りをしてみてください。
国指定名勝・天念寺耶馬及び無動寺耶馬 |
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国指定名勝・中山仙境(夷谷) |
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国登録名勝・真玉海岸 |
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国登録名勝・鍋山(南屏峡) |
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国登録名勝・夕日岩屋 |