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「天念寺耶馬及び無動寺耶馬」が国の名勝に指定されました!

ページID:0002228 更新日:2022年10月25日更新 印刷ページ表示

天念寺耶馬の画像 天高く聳える岩峰、空中に架かる無明橋が六郷満山の修行僧たちの歩んだ長い歴史を物語る「天念寺耶馬及び無動寺耶馬」について、10月13日(金曜日)の官報告示により、正式に国の名勝に指定されました。
 修正鬼会で有名な天念寺・平安仏の数々が祀られる無動寺の後背には、それぞれ屹立(きつりつ)する岩峰が見られ、平安時代以降、六郷満山などの僧侶たちの「行の場」として展開してきました。江戸時代には、三浦梅園らによって国東半島の岩峰の景観が高く評価され、後に名勝・耶馬溪になぞらえて「○○耶馬」と名付けられた名勝地となっていきました。
 中でも「天念寺耶馬及び無動寺耶馬」は、岩林・岩壁状の際立った地形的特徴を持ち、峯入りのルート上の連続性や、両方に設けられた無明橋が互いの耶馬の視点場となっている点などが評価されました。

文化財ワンポイント「名勝とは?」

 優れた景観を持つ「名勝地」「景勝地」の内、国または地方自治体によって指定されたもののことを言い、国指定名勝は「わが国のすぐれた国土美として欠くことのできないもの」と定義付けられています。山岳や瀑布(ばくふ)、岩石などに見られる特異な自然現象による美しい景勝「自然名勝」と、庭園や寺院などに見られる人文的・芸術的視点から創出される景勝「人文名勝」に分類されます。大分県内では4件目の指定になります。

天念寺耶馬の位置

無動寺耶馬の位置

「天念寺耶馬及び無動寺耶馬」フォトギャラリー

「天念寺耶馬及び無動寺耶馬」フォトギャラリーの画像1「天念寺耶馬及び無動寺耶馬」フォトギャラリーの画像2
「天念寺耶馬及び無動寺耶馬」フォトギャラリーの画像3「天念寺耶馬及び無動寺耶馬」フォトギャラリーの画像4「天念寺耶馬及び無動寺耶馬」フォトギャラリーの画像5

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「天念寺耶馬及び無動寺耶馬」フォトギャラリーの画像8
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「天念寺耶馬及び無動寺耶馬」フォトギャラリーの画像13

名勝の楽しみ方(1) 六郷満山の悠久の歴史に思いを馳せてみよう!

 天念寺耶馬及び無動寺耶馬は、1300年の歴史を持つ六郷満山の修行場であり、境内から見上げれば美しい景色と共に、「無明橋」や「岩屋」を見ることができます。
 国東市安岐出身の自然哲学者・三浦梅園は、天念寺を訪れて、天念寺耶馬の景色を仰ぎ見て漢詩を詠んでいます。その詩文(「維此仙蹤遠自養老 仰夫神徳天門之道 社鼓其鏜盥薦黍稲 有凶斯感誠敬以保」)は、昭和16年の水害まで車橋の前に立っていた大鳥居に刻まれていました(その一部は今でも残っています)。梅園は耶馬上の峯道を「天門之道」と表現し、耶馬を仰ぎ見る事で六郷満山の悠久の歴史に対するイメージを膨らませました。それは庭園でいうところの「借景(しゃっけい、背後の自然景観を庭園の景色に組み込むこと)」に似た感覚で、「六郷満山寺院と耶馬」を芸術的視点で捉えなおす1つのきっかけになったと考えられています。
 昭和4年には、種田山頭火も一帯を訪れ、萩原井泉水に宛てて出した書翰(しょかん)には「小耶馬渓とでもいひたい山間」と記し、しぐれる耶馬を越えた行程に思いを馳せて、「いたゞきのしぐれにたゝずむ」などの俳句を詠んでいます。

三浦梅園撰詩文鳥居の画像梅園が「天門之道」と表現した風景の画像
     ​三浦梅園撰詩文鳥居              梅園が「天門之道」と表現した風景

名勝の楽しみ方(2) 銅版画や古写真で昔の天念寺を見てみよう!

 天念寺耶馬及び無動寺耶馬は、江戸時代以降、すばらしい景観を持つ「奇勝」として、高く評価されてきました。
 明治時代には『大分縣社寺名勝圖録』に天念寺境内の銅版画が収録されいます。境内から龍門窟(龍門岩屋)にかけての範囲が、名勝地として美しく描かれています。
 大正時代には国東半島初の地誌である『西国東郡誌』において両者の耶馬景観が写真付きで取り上げられ、特に無動寺耶馬は「奇勝中の奇勝」であると評価されていきました。その後も多くの写真が撮られており、それらを見れば、昔の天念寺耶馬及び無動寺耶馬の景色を知ることができます。

長岩屋山天念寺境内図(上田延成『大分縣社寺名勝圖録』より)の画像天念寺境内の古写真(右は旧本堂)の画像
    長岩屋山天念寺境内図            天念寺境内の古写真(右は旧本堂)
                          (上田延成『大分縣社寺名勝圖録』より)

名勝の楽しみ方(3) 展望写真で修行僧の視点を少しだけ体感してみよう!

 天念寺耶馬及び無動寺耶馬の構成要素には、耶馬の峯道上に所在するものも多くあります。これらからは、僧侶たちの活動の跡を見ることできますし、厳しい修行を少しだけ体感することもできます。展望写真などで少しだけその視点を体感してみましょう。
 天念寺耶馬には忌堂(いみどう)岩屋・小両子(こふたご)岩屋・龍門岩屋などの岩屋をめぐる道があり、針の耳・龍ヶ鼻・無明橋といった難所もあります。無動寺耶馬にも不動岩屋・龍の権現(上宮)などの岩屋や、無明橋・蝉ヶ鼻(せみがはな)などの行の場があります。
 天念寺耶馬及び無動寺耶馬の無明橋付近は、互いの耶馬を見る際の視点場としても機能しています。天念寺耶馬無明橋からは無動寺耶馬の岩壁がよく見えますし、逆に無動寺耶馬無明橋からは天念寺耶馬無明橋を見ることができます。

天念寺耶馬無明橋からの眺望

無動寺耶馬より天念寺耶馬を望むの画像無動寺無明橋より天念寺無明橋を見るの画像
 ​無動寺耶馬より天念寺耶馬を望む          無動寺無明橋より天念寺無明橋を見る

※注意

天念寺耶馬及び無動寺耶馬中に所在する峯道は六郷満山の修行場であり、滑落等の恐れのある危険箇所が多数あります。現在は関係者以外の立ち入りを禁止しています。

天念寺耶馬及び無動寺耶馬の構成要素(一部抜粋)

天念寺講堂の画像天念寺身濯神社の画像川中不動の画像
天念寺講堂           天念寺身濯神社​          川中不動​


小両子岩屋の画像龍門岩屋の画像天念寺無明橋の画像
小両子岩屋              龍門岩屋​           天念寺無明橋​


無動寺本堂の画像無動寺無明橋の画像無動寺龍の権現の画像
無動寺本堂             無動寺無明橋​            無動寺龍の権現​

『天念寺耶馬及び無動寺耶馬名勝調査報告書』について

天念寺耶馬及び無動寺耶馬 名勝調査報告書の画像
天念寺耶馬及び無動寺耶馬 名勝調査報告書

 豊後高田市教育委員会では、名勝地「天念寺耶馬及び無動寺耶馬」の意見具申にあたって、当該地区の歴史的変遷・人文的評価についてまとめた調査報告書を作成しました。

 現在、報告書を刊行する予定はありませんので、以下のリンクよりダウンロードしてご参照ください。

「天念寺耶馬及び無動寺耶馬名勝調査報告書」[PDFファイル/11.82MB]

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