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桂川のほとりに柱状にそびえ立ち、田染荘のみなもととなった鍋山(南屏峡)が、令和4年3月15日に国の登録記念物(名勝地関係)に登録されました。
豊後高田市の南東側、田染平野・田染上野地区に位置する鍋山(南屏峡)は、豊後高田市街地まで流れる桂川上流域のほとりにあって、南北200メートルほどの範囲に、高さ20~40メートルの柱状の岩峰群が並ぶ名勝地です。
鍋山(南屏峡)は田染荘の上流域に所在し、奈良時代からはじまった荘園開発の際に、重要な取水地点・鍋山イゼをつくる際の岩盤となり、平安時代には鍋山イゼの対面の丘陵に鍋山磨崖仏(国指定史跡)がつくられました。また、南北朝時代には宇佐神宮の別宮・元宮八幡神社から市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)が分祀され、岩峰群の対面にある三宮八幡神社が創建されました。
柱状にそびえる鍋山は、江戸時代前期にはすでに「なべ山」と呼ばれ、地域のランドマークにもなっており、江戸時代後期には杵築の絵師・十市石谷によって選定された「田染八景」の1つとなりました。明治時代には、井上円了が現地を訪れて絶賛し、西叡山との対比で「南屏峡」と名付け、漢詩の中に詠み込みました。
その後、鍋山(南屏峡)は、昭和26年に国東半島県立自然公園に指定され、独特な岩峰群の観賞スポットとして親しまれてきました。現在は「三の宮の景」として、よく知られる風景となりました。
今後、鍋山(南屏峡)が登録されれば、本市では昨年の真玉海岸に続いて2件目の国の登録記念物(名勝地関係)で、大分県内の登録記念物(名勝地関係)は7件目になります。
本市における国指定名勝・登録の名勝地は合計で4件となり、九州最多となります。
平成16年の文化財保護法改正で新設された制度の1つで、主に評価が定まっていない記念物について、広く保存及び活用のための措置を講じるため、国及び地方自治体の指定を受けていない記念物を、文化財登録原簿に登録するものです。
中でも、名勝地に関連するものを一般に登録名勝と呼びます。自然的な名勝地については、広く知られたもので再現することが容易でないものが登録されます。
豊後高田市では、平成29~30年度に田染地区の名勝地について、その特定をする調査を実施し、調査報告書を作成しました。
報告書は、市役所高田庁舎1階の市政情報コーナーや、立図書館などでご覧いただけるほか、田染荘スペシャルサイト<外部リンク>でPDFを公開しています。
豊後高田市教育委員会では、名勝地「鍋山(南屏峡)」の意見具申にあたって、当該地区の風致景観についてまとめた調査報告書を作成しました。
現在、報告書を刊行する予定はありませんので、以下のリンクよりダウンロードしてご参照ください。
「鍋山(南屏峡)名勝調査報告書」[PDFファイル/9.72MB]
鍋山(南屏峡)の登録は、名勝調査を実施した田染地区では初の登録で、田染荘全体の保存活用にも弾みがつく嬉しいニュースです。日本遺産との連携事業で記念に「鍋山(南屏峡)Tシャツ」を販売いたします。鍋山(南屏峡)の歴史を感じながらサイクリングで駆け抜けるさわやかなデザイン。右下には井上円了の漢詩の一部が書かれています。
(真玉庁舎・日本遺産くにさきのネットショップKUNISAKI PEAKS OniLINEにて50着限定で販売)
ネットショップKUNISAKI PEAKS OniLINE<外部リンク>
今回の鍋山(南屏峡)が登録されれば、豊後高田市の国指定名勝・国登録記念物(名勝地関係)は合計4件となり、九州でも単独最多となります。以下に各指定・登録に関する記事のリンクを掲載しましたので、記事を読みながら豊後高田市の美しい風景巡りをしてみてください。