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田染真中にある洞窟で、水や信仰に関する民話・伝説が多く残る穴井戸観音が、令和7年3月10日の官報告示により、正式に国の登録記念物(名勝地関係)に登録されました。
同登録で「洞穴」に関する名勝地が対象になるのは全国初になります。
豊後高田市の南側、田染小崎・田染真中の境界にもなっている「間戸ン岩」の田染真中側にある洞穴に作られた霊場が「穴井戸観音」です。
洞穴は、深さ20m、幅は広い所で13m、高さは手前崩落部分で約4m、穴井戸観音前で1.5mほどの大きさで、洞窟の前方には薬師堂という御堂が建てられています。
中世には六郷満山の間戸寺と呼ばれる寺院に関連する行場とされ、江戸時代には朝日山岩屋と呼ばれ、峯入りの札所となっていました。「六郷山百八十三所霊場記」によれば、当時は松明を集落で貰って明かりを灯していたようです。
その後、穴井戸観音は、その不思議な地形から様々な民話を生み出していきます。「穴井戸」は、かつては豊後高田市玉津の海に繋がっていたとされ、穴井戸に逃げた鶏が玉津で発見される話や、恵比須様が穴井戸で鯛を釣った話が残されています。他にも、悪さをする鬼を大岩に封じ込めた話や、鬼の子が恐ろしくて潜れなかった嘘吐き岩の話などの鬼に関する民話や、仁聞が修行の際に飲んだという仁聞の隠れ水の話などが伝わっています。
平成16年の文化財保護法改正で新設された制度の1つで、主に評価が定まっていない記念物について、広く保存および活用のための措置を講じるため、国及び地方自治体の指定を受けていない記念物を、文化財登録原簿に登録するものです。
中でも、名勝地に関連するものを一般に「登録名勝」と呼び、自然的な名勝地については、広く知られたもので再現することが容易でないものが登録されます。
豊後高田市では、平成29~30年度に田染地区の名勝地について、その特定をする調査を実施し、調査報告書を作成しました。
報告書は、市役所高田庁舎1階の市政情報コーナーや、市立図書館などでご覧いただけるほか、田染荘スペシャルサイト<外部リンク>でPDFを公開しています。
豊後高田市教育委員会では、名勝地「穴井戸観音」の意見具申にあたって、当該地区の風致景観についてまとめた調査報告書を作成しました。
現在、報告書を刊行する予定はありませんので、以下のリンクよりダウンロードしてご参照ください。
「穴井戸観音 名勝調査報告書」 [PDFファイル/10.36MB]
穴井戸観音が登録され、豊後高田市の国指定名勝・国登録記念物(名勝地関係)は合計7件となりました。以下に各指定・登録に関する記事のリンクを掲載しましたので、記事を読みながら豊後高田市の美しい風景巡りをしてみてください。
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国指定名勝・天念寺耶馬及び無動寺耶馬 |
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国指定名勝・中山仙境(夷谷) |
国登録名勝・真玉海岸 |
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国登録名勝・鍋山(南屏峡) |
国登録名勝・夕日岩屋 |
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国登録名勝・穴井戸観音 |