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2月18日、市内長岩屋の天念寺で、五穀豊穣と無病息災を祈る伝統行事「天念寺修正鬼会」(てんねんじしゅじょうおにえ・国指定重要無形民俗文化財)が行われました。
この修正鬼会は、六郷満山天台寺院の住職らによって千年以上継承される行事で、登場する鬼たちは仏の化身とされています。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、関係者のみで行われた今回の修正鬼会。毎年行われる鬼役の僧侶やテイレシ(介錯)たちが極寒の川で身を清める垢離取りや3本の大たいまつへの点火も中止となりました。例年なら2月の寒さの中でも多くの観客による熱気があふれる堂内も、僧侶、テイレシ(介錯)、囃しての子どもたち、そして地元の協力者等のみと例年とは違った雰囲気での開催となりました。
午後3時からの「昼の勤行」に始まり、僧侶たちによる「米華(まいけ)」「開白(かいはく)」「香水(こうずい)」「鈴鬼(すずおに)」といった法舞が行われました。
20時30分頃には、災払い鬼(赤鬼)、続いて荒鬼(黒鬼)、災払い鬼(赤鬼)と荒鬼(黒鬼)が登場。鬼たちは燃えさかるたいまつを手に、堂内を暴れ回りました。
拾った人は縁起が良いとされる鬼の目に見立てた餅を取り合う「鬼の目撒き」が行われた後、最後に鬼がたいまつで背中や肩を叩く「加持」が行われ、1年の無事を祈願していました。
「くにさき」の寺には鬼がいる。一般に恐ろしいものの象徴である鬼だが、「くにさき」の鬼は人々に幸せを届けてくれる。
おどろおどろしい岩峰の洞穴に棲む「鬼」は不思議な法力を持つとされ、鬼に憧れる僧侶達によって「仏(不動明王)」と重ねられていった。「くにさき」の岩峰につくられた寺院や岩屋を巡れば、様々な表情の鬼面や優しい不動明王と出会え、「くにさき」の鬼に祈る文化を体感できる。
修正鬼会の晩、共に笑い、踊り、酒を酌み交わす――。「くにさき」では、人と鬼とが長年の友のように繋がれる・・・・・