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1月28日、雪が舞う厳しい寒さの中、市内長岩屋の天念寺で、五穀豊穣と無病息災を祈る千年以上続く伝統行事「天念寺修正鬼会」(てんねんじしゅじょうおにえ・国指定重要無形民俗文化財)が行われました。
この修正鬼会は、旧暦の正月7日に、六郷満山天台寺院の住職らによって継承される行事で、日本遺産『鬼が仏になった里「くにさき」』の象徴ともいえるものです。六郷満山の鬼は、「鬼を追い払う」のではなく、「鬼に姿を変えた祖先を出迎える」という考えのもとに行われるもので、鬼は五穀豊穣をもたらす良い鬼という捉え方をしています。
この日は、3年振りに有観客(定員60名、ライブ中継あり)で、テイレシ(介錯)たちが極寒の川で身を清める垢離取りやタイアゲ(3本の大たいまつの献灯)も行われるなど、ほぼ例年通りの開催となりました。
15時過ぎ、華やかな法衣に身を包んだ僧侶と楽師が講堂に集まって行われる昼の勤行で始まった修正鬼会は、19時になると、テイレシ(介錯)たちが極寒の川で身を清めました(垢離取り)。その後、約5mの巨大たいまつ3本に火がつけられ、講堂前、権現社前、本堂寄りに立てかけられ、講堂などに向けて振られた大松明により、火の粉が夜空に舞い飛びました(タイアゲ)。
続いて、講堂内では、僧侶たちによる夜の勤行のあと、「米華(まいけ)」「開白(かいはく)」「香水(こうずい)」「鈴鬼(すずおに)」といった様々な法舞が行われ、参拝客も飛び入りで参加しました。
22時頃には、災払鬼(赤鬼)と荒鬼(黒鬼)が登場し、燃えさかるたいまつを手にテイレシ(介錯)たちとともに堂内を所狭しと暴れ回り、「ホーレンショーヨ、ソラオンニワヘ」と連呼しながら、松明を振りまわし、堂内は火の粉が舞い、熱気は最高潮に。
その後、鬼の目に見立てた餅を取り合う「鬼の目餅撒き」や、鬼がたいまつで背中などを叩く「加持」が行われ、参拝客は1年の無事を祈願していました。
〇ストーリー概要
「くにさき」の寺には鬼がいる。一般に恐ろしいものの象徴である鬼だが、「くにさき」の鬼は人々に幸せを届けてくれる。
おどろおどろしい岩峰の洞穴に棲む「鬼」は不思議な法力を持つとされ、鬼に憧れる僧侶達によって「仏(不動明王)」と重ねられていった。「くにさき」の岩峰につくられた寺院や岩屋を巡れば、様々な表情の鬼面や優しい不動明王と出会え、「くにさき」の鬼に祈る文化を体感できる。
修正鬼会の晩、共に笑い、踊り、酒を酌み交わす――。「くにさき」では、人と鬼とが長年の友のように繋がれる・・・・・
〇修正鬼会について詳しく知りたい!