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このページでは、重要文化的景観「田染荘小崎の農村景観」の構成要素・関連文化財について、連載で紹介し、その魅力を発信していきます。
少しでも田染荘小崎に興味が湧いた方は、実際に現地を歩いてみてください。中世を流れた風の香りをきっと感じることができるはずです。
田染荘小崎と言えば、不揃いな水田の見事な曲線美。田染荘小崎を楽しむには、余りにも有名なこの景観をまず抑えておく必要があります。このすばらしい景観は「夕日岩屋」という場所から見られます。
夕日岩屋からの眺望(左)、下から見た夕日岩屋(右)
夕日岩屋・朝日岩屋 登り口(左)、イノシシ避けの柵は開けたら閉めましょう(右)
階段を登って行くと、岩肌が見えてきます。円い国東半島の中央にある両子山の火山活動によってできた国東半島では溶結凝灰岩が聳え立つ景観「耶馬」が多くあります。夕日岩屋もそうした耶馬の中につくられた霊場で、六郷満山の僧侶たちの峯入りのコースでもあります。
階段を過ぎるとなだらかな道が現れます(左)、岩肌の見える小道(右)
しばらくすると一気に視界がひらけます。夕日岩屋に到着・・・と思いきや、そこは金毘羅(こんぴら)と呼ばれる場所で、登山道の中間地点です。岩の高い所に金毘羅様の祠が祀られています。鼻のように伸びた岩の先には燈籠があり、かつてはそれを目印に夜間の移動をしていました。
視界が開けた先に・・・(左)、金毘羅様の祠(右)
金毘羅からの眺め(パノラマ)
夕日岩屋は金毘羅からだとよく見えます。ここからも自然いっぱいの小道が続きます。
夕日岩屋が目の前に(左)、岩を削って造った階段を越えて(右)
峯道を数分登ると、やっと夕日岩屋に到着します。夕日岩屋は南北朝時代には古文書で確認できる六郷満山の霊場で、岩屋から夕日が見える西側を向いていることからそう名付けられました。夕日岩屋は金毘羅よりも高い位置にあるので、奥の水田の形までしっかりと見ることができます。
奧側には西叡山・華ヶ岳・烏帽子岳などの険しい峰々が見え、水田が彩る里の世界とのコントラストは、田染荘小崎にしかない独特の景観美をつくり出しています。
夕日岩屋からの景色は四季折々に変化します。どの季節に行っても素晴らしい景観です。
ここから見える風景は、中世の頃からほとんど変化していないとされています。
夕日岩屋があれば、朝日岩屋もあります。尾根の割れ目につくられた細道を抜けると、石造の小堂を持つ岩屋があります。朝日岩屋も南北朝時代の古文書に登場する岩屋で、朝日の見える東側を向いています。
次回は「荘園を守った中世の裁判と『台薗集落』」を掲載します。