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香々地地区早田(わさだ)の殿屋敷に所在する大型の国東塔「早田国東塔」が、県指定有形文化財[建造物]に指定されました。
懸裳(かけも)を思わせる独特な蓮華坐の造形が目をひく本塔は、塔身に南北朝時代初期(暦応2年・1339年)の銘があり、西国東の在銘国東塔の中では古いものの1つです。また、同じく銘に見える大願主沙弥實道(だいがんじゅしゃみじつどう)は、香々地荘公文の系図(黒田家文書)に登場する人物で、国東塔の造立経緯などを探る上で、当塔の歴史的な価値が注目されています。
早田国東塔
国東塔に刻まれた銘 香々地荘公文職 系図
※古い史料では「香地」と書かれます
「広報かかぢ(昭和55年6月号)」を見てみると、殿屋敷国東塔(早田国東塔のこと)の復元の経緯が書かれています。実はこの塔は付近の畑に散在していたものでした。他の報告書の記載とあわせて見ると、予想より時代がやや下ったこと、相輪の一部が失われていることから、当時は上位指定を諦めたと思われます。
しかし、20年近く経って行われた香々地荘の調査において、大願主「實道」が中世文書に登場することが指摘され、塔の歴史的価値が意識されるようになりました。
そして、今回の調査では、塔の造形・部材の噛み合わせの検討を入念に行った上、歴史的な評価をあわせて評価していただいた結果、晴れて県指定有形文化財に指定されることとなりました。
今回「城山薬師堂四面石仏」も指定されましたので、豊後高田市に所在する県指定文化財は59件となりました。また、県指定への昇格に伴い、市指定文化財は138件になりました。