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鎌倉時代の洗練された美しい技巧が特徴の「木造十一面観音菩薩立像」が、3月2日付けで県指定有形文化財[美術工芸品 - 彫刻]に指定されました。
鍛治屋町の光厳禅寺は、玉津・円福寺の開山に関わった絶崖宗卓が同寺の末庵として開いた「光厳庵」が江戸時代に寺院化したものと知られています。本像は鎌倉時代後期の作と推定され、光厳庵創建当時から本尊として崇敬を集めたと考えられます。
鎌倉時代の十一面観音菩薩立像は県下で類例が少なく、大変貴重である上、像容が素晴らしく、頭上面・持物を含めた保存状態も良好です。衣に截金文様が磨きつけてあるなど、細部にまでこだわったつくりをしています。保存状態も極めて良好であり、県内の観音菩薩像の中でも特に優れたものであると評価をされました。
また、国東半島地域における鎌倉時代後期の禅宗の展開を知る上でも重要な像です。
頭の部分 胸の部分
腰の部分 足の部分
各方の衆生救済のため、頭上に11の顔を持つ観音菩薩です。十一面にはそれぞれ役割があり、頭頂の仏面(悟りの表情)、菩薩面(慈悲の表情)、瞋怒面(憤怒の表情)、狗牙上出面(仏道を勧める賛嘆の表情)、大笑面(衆生の悪行を笑う表情)など様々です。数珠と水瓶を持っている場合が多くあります。
今回、「道園庚申塔二基 附 庚申待上講関係資料一式」も指定されるので、豊後高田市に所在する県指定文化財は62件となります。また、県指定への昇格に伴い、市指定文化財は139件になります。