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荘園の里推進委員会では、田染荘に生息する50種類以上のトンボを紹介する冊子『田染荘のトンボと生き物たち』と、現地を散策する際に活用できるリーフレットを刊行しました。
田染荘は中世の荘園に由来する景観が残されていることで著名ですが、画一的なほ場整備を行わず、自然の地形を活かして緩やかに進化してきた田んぼやため池には、豊かな農業生物多様性(農業の継続によって維持される生物多様性のこと)が育まれました。
中でも農業生物多様性を象徴する存在とされているのが「トンボ」。田染荘の周辺には50種類を超えるトンボが棲息しています。中には絶滅等が危惧される貴重な種類のトンボも確認されています。
田染荘の農業とともに継承されてきた農業生物多様性は、世界農業遺産(GIAHS)でも高く評価されてきました。
田染荘にいる50種類のトンボは、田染荘の自然と人が作り出し、守ってきた存在と評価されてきましたが、個々のトンボの情報やその姿をまとめた資料はこれまでになく、その事について学んだり、トンボを観察する活動がなかなかできていませんでした。
今回は12年間にもわたって田染荘でトンボの現地調査をしてきた別府大学歴史文化総合研究センターの佐藤さくらさんの調査結果を基に、冊子『田染荘のトンボと生き物たち』と、リーフレット版を製作しました。田染荘の農業生物多様性について、多くの人に知っていただく機会にすることはもちろん、実際に現地で生き物を観察する際の手引きとしても活用します。
なお、本事業は令和3年度世界農業遺産ブランド推進事業(地域活力支援事業)の補助金を活用して実施しました。